五度圏(cycle of 5th)を覚えて使い倒そう! 調号も平行調もコードもすぐ分かる


五度圏(サイクル・オブ・フィフス=cycle of 5th)て何だかわかりますか?
これを覚えておくと、とても便利なんです。

これが五度圏

図.1 五度圏の図(拡大した図が開きます)

これの何が便利なのか。どうしてこのような図があるのか、説明していきますね。

まず五度(5th)とは何かについて。
そもそも音楽における”度”とは、
『ある音とある音がどのくらい離れているか』
つまり、音程の差を表す時に”度”という表現を使います。
しかし、音楽で使う”度”が少しややこしいのは、
速度や温度、角度のように1度の差(幅)が一定ではないということ。
どういうことかというと、
短何度、長何度、増何度 減何度、完全何度と”度”にも色々な種類が存在するのです。
具体的には下記リンク先の”音楽の度はドーナツのド?”を見てください。

リンク:音楽の度はドーナツのド?

また、起点となる音(数え始めの音)はゼロではなく”1度”となります。

C(=ド=ハ)を起点にすると、
1オクターブ内には12音(12個の鍵盤)があり、
13音目で1オクターブ上のCになります。

1度=C
短2度=D♭
長2度=D
短3度=E♭
長3度=E
完全4度=F
増4度=F#・・・(減5度=G♭)
完全5度=G
短6度=A♭・・・(増5度=G#)
長6度=A
短7度=B♭
長7度=B
8度=C(オクターブ)

同じようにE♭を起点にすると

のようになります。
これは他の音を起点にした場合も、その起点の音を1度とし、
半音上がるごとに同様の度の並びとなります。
冒頭の五度とな何か、は、
この12音で構成される音の中の完全5度となる音のことです。
五度圏とは、
起点となる音とその完全5度の音を30°の角度で円上に(通常は時計回りに)記したもの。
Cを頂点(12時の位置と)とし、Cの完全5度となるGを30°(1時の位置)に、
Gの完全5度となるDをさらに30°(2時の位置)に、
Dの完全5度となるAをさらに30°(3時の位置)に・・・と順に記して頂点のCに戻ります。
この時、時計回りに1つ(30°)進むと調号の#が1つずつ増えていきます。
Cから反時計周りに1つ進むと調号の♭が1つずつ増えていきます。
180°(6時)の位置で#と♭が入れ替わりますが、その前後を含めた3音では、
曲によって#と♭の両方の記載方法があります。
※黒鍵は5個しかないのに#や♭が6つになってますが、
通常”シ”として弾く白鍵を”ド♭”としたり、
通常”ファ”として弾く白鍵を”ミ#”として扱います。
起点となる音とスケール上の各音の間隔(インターバル)の規則性からそのように扱います。

さて、長くなりましたが、5度圏のこの図の成り立ち(構造)はわかったと思います。
では、この図は何の役にたつのか。これが一番知りたいことですよね。

一番わかりやすいのが平行調が一目瞭然であるということ。
平行調とは、調号が同じになるメジャー(長調)とマイナー(短調)のこと。
Cメジャー(ハ長調)は調号に#も♭もなく、スケールは白鍵のみのドレミファソラシドです。
この平行調がAマイナー(イ短調)です。
起点となる音がA(=ラ=イ)となりますが、スケールは白鍵のみのラシドレミファソラです。
(マイナースケールには3種類あるが、ここでは特に記載がない場合ナチュラルマイナーとする)
この平行調の関係は5度圏の90°の位置関係になっています。
具体的には、ある音をメジャーとすると、
そこから時計回りに90°の位置にある音がマイナーの平行調です。
もちろん逆に、ある音がマイナーの場合、
反時計回りに90°の位置にある音がメジャーの平行調です。
Cメジャー/Aマイナー以外、5度圏を覚えていれば、
B♭メジャー/Gマイナー(調号♭2つ)とか、
Aメジャー/F#マイナー(調号#3つ)などがすぐわかります。

平行調だけなら、わざわざ5度圏で確認しなくても
スケール練習を通じて自然と覚えられそうだけど、
他に役立つことはないのでしょうか。

30°進むと5度の音。では60°進むと?
音楽の度は起点が1度なので、4度上がります。
つまり5+4で9度の音。90°はさらに4度上がるので9+4で13度の音。
120°では13+4で17度?
1オクターブは8度なので、8度と1度は同じ音に戻ります。なので8度以上は7を引いて
9度は2度、13度は6度、17度から7を引くと10度、さらに7を引くと3度。
同様に150°は17+4で21度、これらから14引くと7度です。
180°は21+4で25度、14引くと11度、さらに7引くと4度です。
つまり起点の音が1度でこれをルートとして30°進んだ度を並べると1526374。
ひとつ跳びに1234と567になってます。
さらに進んでみましょう。
210度は25+4で29度。21を引くと8度?さらに7を弾いたら1度?
例えば起点の音がCなら210°の位置はD♭またはC#なので1度ではないですよね。
そういえば、180°の時も4度ってしたけど、
G♭(F#)って4度じゃなくて、増4度(減5度)の音ですよね。
とりあえずこの疑問は一旦置いといて・・・
今度は30°戻ってみましょう。
30°戻る(反時計周りに進む)と4度進みます。
先ほどと同様に他の角度も計算すると、
60°は4+3で7度、90°は3度(10度)、120°は6度(13度)、
150°は2度(9、16度)、そして180°は5度(12、19度)。
計算した度と5度圏上の音は30°の時の4度しか一致しないですね・・・
ただし、180°はどちら周りでも増4度/減5度で同じ結果になってます。

くどくどと計算してきましたが、実はこれ、どうでも良かったのです(ごめんなさい)。

気づいたかもしれませんが、音階の構成音は12個で決まっているので、
5度圏にすべての構成音があります。
ここで、コード(和音)を考えてみましょう。
コード名が”C”の構成音は1度=ルートC、長3度=E、完全5度=Gの
ドミソなのはすぐ分かると思います。
C7なら、このドミソに短7度=B♭を加えたドミソシ♭。
Cm7なら長3度を短3度に置き換えてドミ♭ソシ♭。
CM7ならCのドミソに長7度=Bを加えてドミソシ。
つまり、
C=1度+長3度+完全5度
C7=1度+長3度+完全5度+短7度
Cm7=1度+短3度+完全5度+短7度
CM7=1度+長3度+完全5度+長7度
です。
では、B♭m7はどうでしょう。
B♭m7はB♭-D♭-F-A♭(シ♭-レ♭-ファ-ラ♭)です。
”度”で表すと、B♭(シ♭)が基準の1度(ルート)となり、
B♭m7=1度+短3度+完全5度+短7度
と、Cm7と同じになります。
そんなことは知ってるかもしれませんが、次のような見方をしたら、あることに気付きませんか?

ではもう1つ。Cdimはどうなるのでしょうか。
ルート(1度)から短3度を積み上げていくとdimになります。
なので、Cdimは1度C(ド)、短3度はE♭(ミ♭)、E♭から短3度でG♭(ソ♭)、
さらにG♭から短3度のA(ラ)となります。ちなみにAの短3度はCになります。
これを全部Cを起点に度で表すと
Cdim=1度+短3度+減5度+長6度
となります。5度圏に記してみましょう。

これを見るとdimコードの構成音は5度圏の90°ずつ離れた音となっています。
AdimもG♭dimもE♭dimも全てCdimと構成音が同じということです。
そして、Cから30°のGdimのグループと60°のDdimのグループの
3種類に集約されることが5度圏の図から分かるのです。

Cを起点にして、5度圏の図と”度”の関係はどうなっているのでしょうか。

この5度圏の図から、Cにとって他の音が何度なのかわかります。
起点となる音(ルート)から時計回りに1-完5-長2-長6-長3-長7増4。
反時計回りに1-完4-短7-短3-短6-短2-減5となってます。
1度両側は完全5度、完全4度、180°は増4度/減5度。
時計回りは長音、反時計回りは短音。
ここで、先ほどグダグダと計算してた一見ムダだった話を思い出してみましょう。
そうです、一つ跳びに見ると時計回りは1−2−3−4、5−6−7。
反時計回りは1(=8)-7-6-5、4-3-2。
となっているのです。これなら覚えるの簡単ですよね。

たとえば、CM7なら1度-長3度-完全5度-長7度であるため、この図より
CM7=C+E+G+Bであることが分かります。

これは、1度をCから他の5度圏上の音に移動した場合には、
赤文字の各”度”の部分も一緒に回っていきます。
1度をFにすれば完全5度はCの位置にきます。
これは、コードの種類ごとに5度圏に構成音のパターンがあり、ルートが決まれば、
そこを起点に5度圏におけるコードパターンを当てはめれば、
そのコードの構成音がすぐに分かるのです。
もちろん、コード理論の知識があれば5度圏に頼る必要はないし、
鍵盤のイラストを使ったコード一覧のようなものもあります。
でも、ボーカル曲などで伴奏する場合に移調することがよくありますが、
5度圏を使ったら簡単にコードの置き換えができるんです。

 

まとめ

5度圏の図から平行調がすぐにわかるだけでなく、コードの構成音もすぐ分かる。

『5度圏の音の位置(CGDAEBG♭D♭A♭E♭B♭F)と
一つ跳びに時計回りは長、1234、567、
反時計回りは短、8765、432、
1度の隣りは完全、180°は増減。』

あとは、Cをルートに各種コードのパターンを覚える。
たったこれだけです!!

よく使うコードは、m、m7、M7、m7−5(=φ/ハーフディミニッシュ)、
dim、aug、sus4くらいでしょうか。
ちなみにジャズといえばテンションですが、9度11度13度は2度4度6度のオクターブ違い。
なので、テンションノートがどの音になるかも、この5度圏で分かるのです。
なお、#9thは短3度のオクワーブ違いです、念のため。

【参照リンク】5度圏コードパターン Cコード一覧

 

 

 

 

 

Follow me!

コメントを残す